2010年3月30日火曜日

1本目~つるばみ染めのストール~


これはどんぐりで染めたストールです。
どんぐりは鉄媒染でグレー、
ミョウバン媒染でベージュに染まります。
特にグレーは「つるばみ」と呼ばれ、
古代から庶民の色として使われてきたものだそうです。
色目は地味だけれどもあせることがなく、
長持ちすることから、
「変わらない気持ち」の
比喩として和歌に使われることが多かったようです。

くれないは、うつろふものぞ、
つるばみの、なれにし来ぬに、なほしかめやも

紅(くれない)で染めた衣はきれいでしょうが、
色があせやすいものです。
橡(つるばみ)で染めた衣は地味でも慣れ親しんでいるので、
やはり良いものですよ。

転じて、裏の意味を探ると、

華やかな女性は美しくていいでしょうが、容色は衰えるもの。
地味でも慣れ親しんだ女性の方が長く見ると良いものですよ。

という万葉集の和歌なんかが分かりやすいでしょうか。
とにかく色あせしなくて独特の風合いがあり、とても好きな色です。

自己紹介

東国原知事で有名な九州は宮崎、綾町の玄太染織工房で
染織修業をしています。
シルクのマフラーやストール、
綿麻のタペストリーを主に作っています。
作品を100点作って、いつか個展をするのが夢です。
自分の中のよきものがこごってのり移ったものが
作れればいいなぁと思っています。